2015年5月15日金曜日

プリウス がビックリなほどバリバリ走る!!!

  しばらくぶりに国道299号線を走ってみました。正月明けから予定が立て込んでいたため、まとまった時間がとれず凍結の時期を過ぎてから今年初めてで久しぶりの「ドライコンディション」でした。一大観光地の秩父につながる重要ルートということもあり、休日の昼間に踏み入れれば大量のバイカーに行く手を遮られます。さらに家族連れのミニバンが列を成していて徐行しているので、走りを楽しむというより時間とガソリンの無駄になってしまいますので、走りに行く時の狙い目は連休最終日の深夜がベストだと思います(翌日は少々眠いですけど)。さてそんなベストな時間に行ってみると、当然に同じことを考えている走り好きもいるようで、かなり本気モードの走りをするクルマに出会うことも多いです。この日もとんでもない走りをするプリウスが現れました。

  埼玉県・入間から飯能までつづくバイパス区間が終わり、前にはプリウス・・・あらら。この先は追い越し不可能の片側1車線なので、ちょっとテンションが下がりつつもセーフティな車間をとって追走しました。なかなか険しい低速コーナーも現れるルートになのですが、このプリウスは地元ナンバー車ということを考えても、想像よりかなりいいテンポで走ってくれます。高速区間から中低速ワインディングに変化したルートのフィーリングを試すのにはちょうどよいペースだったと思います。しかしそれもつかの間で前方に低速のコンパクトカーが現れ一気にペースダウン。まあ仕方ないか・・・諦めて平行する奥武蔵グリーンライン(林道)を行こうかと思っていると、前のプリウスがなかなかがっつりとコンパクトカーを煽り始めます。

  さすがにこれだけタイトで夜間で視界もままならない中では、前を走るコンパクトカーはいらいらしてまともに走れないだろうことは想像できますし、それにしてもこの車間!これはエグいな・・・。しかしまもなくコンパクトカーが待避場所で端に寄せたので、私も一気にプリウスとの車間を詰めて、ついでに道を譲ってもらうことにしました。お礼ハザードもそこそこに、前のプリウスを追いかけると、すでにプリウスの走りにはちょっとヤバい雰囲気が・・・。譲ってもらったということもあり、無意識の内にペースを上げてしまうのも無理ないですが、その予想通りで待ったなしでプリウスは駆け出していきます。その加速はなかなかのもので、しかも続くコーナーでも全く慌てるそぶりもなく、絶妙な速度(結構速い)で、中央分離帯にポールが立ってラインの自由がほとんどない中で、こんなスピードで抜けていくプリウスは未だかつて見たことないです。もちろんフットブレーキランプは一切点灯させずで、コーナーへの進入速度を完全に見極めたコントロールをしているようで、全く修正した仕草がありません。

  低速・中速どちらのコーナーも脱出速度は、とりあえずマツダの方がハッキリ鋭いので、ちゃんと走っていればまず離されることはないのですが、プリウスの性能を十二分に発揮して進む「技」は、明らかに年季の入った峠ドライバーの走りそのものです。同じスピードで突っ込んでもマツダ車の方がフラットに曲るのだから問題ないと頭ではわかっているのですが、車幅は2m50cmの限界からそれ以上はいくらも余裕がなくコーナーにはポールが立っていて、体感では相当にタイトでアンダーステアでも出そうものなら・・・。こんなエスケープゾーンもほとんど無いルートで、相手(プリウス)よりも一回り大きいボディをうまくコントロールできるか?と少々不安な気持ちが浮かんできます。

  峠のドライビングとはなんとも不思議なもので、一度そういう不安・恐怖が頭に浮かんでしまうと、走りのバランスが突如ガタガタと崩れ始めたりします。コースはよく知っていているはずなのに、ちょっとしたハンドリングのミスタッチから、思わぬピッチングが起こり、それを抑え込みにかかるダンパーの動きを感じている間に次々とコーナーが変化していきます。そして脱出速度の調整をするペダルのタイミングにも悪影響が及び、おそるおそる神経を研ぎ澄ませて踏み込むというなんとも苦しい走りに追い込まれます。大まかなペースと進入速度の限界はわかっていて、しかもヒルクライムなのでリズムよく走らせれば危険なことはほぼないのですが、得体の知れない「手練」な先行車のペースは不思議な緊張感を醸してくれます。

  そのまま正丸トンネルを抜けると、今度は秩父盆地へ向かっての中・高速ダウンヒルにコースの特徴が大きく変わります。同じ国道とはいえ、このトンネルを超えると必要とされるクルマの性能も変わってきます。飯能側と違ってよりハイスピードになるゾーンではアテンザとプリウスにはどのような差があるのか?と興味振々だったのですが、あれれ・・・どうもこの「技師」をもってしてもプリウスはダウンヒルはダメみたいです。

  普段からマツダ車に乗って峠を走っているとよく有りがちですが、ヒルクライムではターボの輸入車相手に対してちょっと分が悪かったりします。しかしダウンヒルでは車高を低く抑えたスポーツカーでも出てこない限りは、マツダの乗用車が最強ではないか?と思うぐらいにクルマの適正を感じます。その一番の理由は、マツダ車はハンドリングのスムーズさが登りと下りでも大きく変化しないことです。10年以上前に乗っていたトヨタ車はアテンザよりも200kg以上軽かったですが、ダウンヒルでオーバースピードになると、リアが全く踏ん張らなくなって、まるでゲレンデでソリ滑りをしているような弱々しい操舵感を頼りに厳しい勾配を下るときは、心臓が口から飛び出るほど恐ろしかったです・・・。

  エンブレを多用するプリウスに下りで接近戦を仕掛ける人は、命知らずの大バカ野郎なので、セーフティな車間を取りつつ低速ギアの操作(近づくと3速・離れると4速)だけで追従していても全く離れません(もちろんどちらもフットブレーキは使いません)。そのため終始安定した走行でまったくタイヤを使うシーン(食い付かせる)などありません。そもそもアクセルオンのシーンすらほとんどない、「燃費を稼ぐ」走りなのでなかなか気分もいいです。そのプリウスは秩父のはるか手前の芦ケ久保・道の駅へと入っていってしまいました。その瞬間に肩の力が抜けて、「ホッとした」と「ちょっと淋しい」の相反する想いが・・・。また会えたらいいな「所沢」ナンバーのプリウス。

  さて信号もほとんど無いノンストップの下りでアクセル無しの走行をしばらく続けると、だんだん体とクルマがシンクロして、ニューロンでつながれたような気分になってきます。「ステアリングと4輪」の物理的なつながりに自分の意識が取り込まれたかのような感覚と同時に、自分が運転しているのでは無いかのような絶妙なハンドリングができるようになります。こうなってくるとどんな低速コーナーでも鼻先からキレイに収まっていく感覚と、コーナー脱出時のヨー運動(揺れ戻し)が、全て次の動作のカウンターになるくらいに車体の状態がお尻や背中から伝わってきます。クローズドな直線区間が与えられたら楽に「直ドリ」ができちゃいそうなくらいです。

  秩父からちょっと北上して埼玉県道11号線「定峰峠」に入ったときには、4輪が全てが完全なコントロール化にあるほどに感覚が研ぎ澄まされてきました。エグいヘアピンが続くものの、それぞれの180度ヘアピンの膨らみは大きくスペースに恵まれているので、パワースライド気味にアグレッシブに車体の向きを変えることも十分にできます(完全自己責任ですが・・・)。目的地もなくガソリンを消費して排気ガスを出すという「趣味ドライブ」を楽しむならば、この領域に入れるまで走り込まないと(そこに達するクルマでないと)、時間とお金の無駄遣いかなという気がします。もちろん「趣味ドライブ」の目的はこれだけでなく、「大事な人と心ゆくまで話す」、「音楽を楽しみながら考え事をする」、「心にひらめいた景色を求めて走る」などなどいろいろありますが・・・。

  正直言ってプリウスは、どう乗り込んでも「ニューロン」的なフィーリングには達し得ない「アンチ・ドライバーズカー」だと思っていましたが、あれだけの走りを見せつけられたら、登りに関してはある程度は実力を認めざるを得ないと思います。実際にあのコースを「あれだけのペース」でこなすのは、「駆け抜ける歓び」を謳う某ドイツブランド車でも簡単ではないと断言できます(8速&ターボには不利なコースでもあるし)。プリウスのサイズ・車重・スペックは確かに峠を走るのに適した水準にまとまっています。あとはゼロ発進時のもたつきと、高回転からの加速の鈍さと、決してタイトではないハンドリングでは初コースはシビアであることと、あとは重心の高さが下りの走行性能に悪影響を及ぼすことなどが、段階的に改善されれば、トヨタ86と大きな遜色がないくらいの峠マシンになりうるかもしれません。

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4 件のコメント:

  1. とても面白く読みやすい記事でした!
    私もプリウスオーナーですのでいつか峠でお会い出来たらと思いました^^

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  2. コメントありがとうございます。
    これは3代目プリウスでしたけども、新型になって重心低くてモータートルクもあって、リアサスも変わって、確実にもっと速くなってますよね。
    もうロードスターしかマツダ車に勝ち目はないかもしれません。

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    1. ご返信有難う御座います。
      昨日新型プリウスを借りて筑波山に行ってきました。
      やはり新型だけあって私の30系型よりハンドルもアクセルのレスポンスも向上してました。
      面白いぐらいにパワースライドもします。
      これぐらい性能が上がってくれば筆者様のアテンザにもくらいついて行けるのでは?...
      っと思えそうな・・・笑
      次回は【定峰】に行きたいですね!

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    2. 定峰はほぼ1.5車線で、筑波みたいな夜景もあまり無いので、ちょっとがっかりされるかもしれません。夜間なら神奈川のヤビツ峠なんかオススメですね。それっぽいクルマが必ずいますが・・・。

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