2014年2月11日火曜日

トヨタ86を生み出したトヨタ&スバルは偉いと思う理由。

  2012年の発売当初から大きな反響で、瞬く間に日本の風景の一部になったトヨタ86。クルマ好きにはいろいろなタイプがいるので、このクルマの評価は千差万別でプロのジャーナリストの間でも毀誉褒貶が激しいです。何より温度差がとてつもなく大きいので、クルマ好き同士の会話では最初の内はあまり言及したくないクルマだったりします(ちょっと気まずい)。ところが発売から2年近くが経過しようとしているが、ここに来てこのクルマの不思議な力に気づかされることがあります。

  いろいろなしがらみがあるのでしょうが、プロのジャーナリストやレーサーのかなりの人数がこのクルマを実際に購入しているようです。そして面白いことに、彼らがこのクルマに対して愛憎のこもった不思議な想いを語ることをこの1年あまりでよく目にしました。もしかしたら「ステマ」かもしれないですが、彼らのコメントに共通するのは、このクルマが持つスペックそのものを語るのではなく、このクルマがどんな十字架を背負い生み出されたかについて訴える内容が多い(だから私は買ったんだ!と・・・)。

  自動車産業に関わるジャーナリストとして、クルマを取り巻く状況が大きく変化しつつあり、彼らの仕事にも大きな影響が出ていて今後にも大きな不安を感じずにはいられない、しかしそんな暗澹たるクルマ業界を変えたいというトヨタの想いに「共感」したという主旨だったりする。中にはいつからこの人はこんなに「社会派」なコメントをするライターになったの?みたいな方がいたり、なんでCR-Zの時は擁護しなかったの?というツッコミも思いついたりするのだが・・・。もしかしたらCR-Zを守ってやれなかった懺悔か?

  ジャーナリストという立場でクルマの優劣について主体的に語ろうとしないで、社会情勢を楯に読者にクルマ購入を奨めるなんてまったくのモラルハザードじゃないかという気がしないでもないけど・・・。お金を持っていて86を買ってもいいかなと思っている方々へのメッセージなのだからそんなに目くじらを立てる必要もないかも。正直言って「AE86のスピリットを21世紀に伝えたい」というトヨタの掲げるお題目はまったく響かないです(世代も違うので・・・)。けれどもジャーナリスト達が必死に訴える「スペシャリティカーの危機的状況」を背負うクルマなんだという「ストーリー性」には多くのクルマ好きのハートが「ぷるぷる」きてしまうはずです。

  誰しもが「何じゃそれは?」と思っていたトヨタの「目論み」は完全に空振りに終わったはずでした。発売前からそれを予見(揶揄)する声は無数にありましたし・・・。しかし結果的には、トヨタが意図的に発したものとはひと味違う「ストーリー」が多くのユーザーの心を見事に打ち抜いたわけです。さらに凄いなと思うのが、私自身もこのクルマが出て来て以降「ぷるぷる」が止まらないんですよ・・・。アテンザ、レクサスIS、アコード、アクセラ、レヴォーグ、インフィニティQ50・・・次々と登場する日本車に魂がゆさぶられ続けてないですか?

  いまでも街行く86のドライバーを見かけると「ぷるぷる」来ちゃったのかな?なんて微笑ましく見てしまいます(決してバカにしてないですよ!)。おそらくこのクルマのオーナーは10中8, 9良い人ですよね、たぶん・・・。


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