2014年2月27日木曜日

RX-7復活?という噂に踊らされる

  マツダの「スカイアクティブテクノロジー」は量販車の性能を効率的に引き出す技術革新で、専門家筋の評価も上々で自動車業界も大注目です。マツダの開発者はこの結果にある程度は満足しているでしょうが、まだまだ燻る思いがあるようで、アテンザの発表会の席上で「次はスポーツをやります!」とひときわ大きい声での挨拶があったとか・・・。かつてのマツダが作り上げた名車RX-7をポルシェ911のように、半恒常的なラインナップとして販売し、スポーツメーカーとしてのマツダを再興したいという想いがそう発言させたのだと思います。

  2000年代は峠で走れない偽物スポーツカーが跋扈した時代でした。峠で走るより信号が多い都会の道でよく見かけるスポーツカーがとても多くなりました。メルセデスSLKやBMW Z4といった峠をまともに走れないメタボスポーツカーは、平坦な道を好むドライバーが多い印象です。そんな疑似スポーツカーに混じって栄光のピュアスポーツ「FD3S」が街中をノロノロ走っているのを見ると悲しくなります。渋滞にでもハマったら燃費はとんでもないことになりそう・・・。

  おそらく本当は思う存分FDを乗り回したいのでしょうが、経年でなかなか元気に走ってくれないという事情もあるのかもしれません。何かの記念日くらいにしかエンジンに火を入れないなんてオーナーもいるほどで、まるで貴重なコルトレーンのレコードに針を落とすのがもったいないという気持ちと同じようなものになっているようです。スポーツカーなんて走ってこそ価値があるのではと思うのですが。

  早い話がマツダがさっさとRX-7を復活させればいいんじゃないかということなんですよね。2002年の生産終了から12年が経ちますが、その間にFDを完全に上回るスポーツカーは遂に現れませんでした。一番近いところにいたS2000も生産中止に追い込まれ、社会全体もスポーツカーなんていらないという時代が続き、人々はSNSやオンラインゲームに夢中になっていったので、ますます復活させにくい状況へと突き進みました。マツダの経営も2000年代の後半には悪化の一途を辿りました。

  しかし2012年頃からやや風向きが変わり、ネットやゲームに飽きた人々がクルマに向かう時代が来たのでは?と個人的には感じています。東京MSも東京オートサロンもクルマ離れなんてウソのように客足は伸びていて、新車販売も2002年以降では最高の水準まで急速に回復しています。住んでいるマンションの駐車場も空きがこの1年でどんどん埋まりました。以前よりも若くしてかなりの月収を得られる仕事も増えていて、高いスキルを持つITエンジニアやネットビジネス経営者ならば、高収入とクルマを楽しむ時間の両立ができるようになったのも大きいと思います。

  大学の頃にかなりクルマに対する憧れがあり、働きだしたらRX-8を買おうと思ってました。しかし想像以上に社会人の拘束時間は長く、クルマに乗る暇もないし、ディーラーに足を運ぶ余裕もないくらいでした。それが今では大学生の内からネットで起業みたいなことが割と低リスクでできる時代なんですよね。若者が免許取っていきなりマスタングを新車で買うみたいなケースが結構あるようです。

  もしRX-7のような400万円程度で最高に楽しいクルマがマツダにラインナップされていれば・・・なかなか皮肉なことです。現行のアテンザやアクセラはいまいち気持ちが動きませんし、他のメーカーもそうですが、日本車はいろいろな意味でもう少し「過激」な部分があってもいい気がします。初代フーガやレクサスGSに設定されていたV8搭載モデルが無くなったとたんにフーガもレクサスGSもクルマとしての魅力が一気に冷めてしまいましたし、クラウンマジェスタも同じ運命を辿るでしょう。

  マツダが本気でRX-7を復活させるかは未定ですが、マツダの開発者はやりたがっていますし、マツダはメインエンジンとしてのロータリーの開発を継続していると認めていますし、いまだにRX-7くらいキャラの立ったスポーツカーの決定版と言えるクルマが出て来ていないという現状(ケイマンもZも役不足!)と、あらゆる条件は揃っているように思うのですが・・・。


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↓イニDのサントラはこれ1枚に尽きますね。あとは蛇足か駄作

2014年2月11日火曜日

トヨタ86を生み出したトヨタ&スバルは偉いと思う理由。

  2012年の発売当初から大きな反響で、瞬く間に日本の風景の一部になったトヨタ86。クルマ好きにはいろいろなタイプがいるので、このクルマの評価は千差万別でプロのジャーナリストの間でも毀誉褒貶が激しいです。何より温度差がとてつもなく大きいので、クルマ好き同士の会話では最初の内はあまり言及したくないクルマだったりします(ちょっと気まずい)。ところが発売から2年近くが経過しようとしているが、ここに来てこのクルマの不思議な力に気づかされることがあります。

  いろいろなしがらみがあるのでしょうが、プロのジャーナリストやレーサーのかなりの人数がこのクルマを実際に購入しているようです。そして面白いことに、彼らがこのクルマに対して愛憎のこもった不思議な想いを語ることをこの1年あまりでよく目にしました。もしかしたら「ステマ」かもしれないですが、彼らのコメントに共通するのは、このクルマが持つスペックそのものを語るのではなく、このクルマがどんな十字架を背負い生み出されたかについて訴える内容が多い(だから私は買ったんだ!と・・・)。

  自動車産業に関わるジャーナリストとして、クルマを取り巻く状況が大きく変化しつつあり、彼らの仕事にも大きな影響が出ていて今後にも大きな不安を感じずにはいられない、しかしそんな暗澹たるクルマ業界を変えたいというトヨタの想いに「共感」したという主旨だったりする。中にはいつからこの人はこんなに「社会派」なコメントをするライターになったの?みたいな方がいたり、なんでCR-Zの時は擁護しなかったの?というツッコミも思いついたりするのだが・・・。もしかしたらCR-Zを守ってやれなかった懺悔か?

  ジャーナリストという立場でクルマの優劣について主体的に語ろうとしないで、社会情勢を楯に読者にクルマ購入を奨めるなんてまったくのモラルハザードじゃないかという気がしないでもないけど・・・。お金を持っていて86を買ってもいいかなと思っている方々へのメッセージなのだからそんなに目くじらを立てる必要もないかも。正直言って「AE86のスピリットを21世紀に伝えたい」というトヨタの掲げるお題目はまったく響かないです(世代も違うので・・・)。けれどもジャーナリスト達が必死に訴える「スペシャリティカーの危機的状況」を背負うクルマなんだという「ストーリー性」には多くのクルマ好きのハートが「ぷるぷる」きてしまうはずです。

  誰しもが「何じゃそれは?」と思っていたトヨタの「目論み」は完全に空振りに終わったはずでした。発売前からそれを予見(揶揄)する声は無数にありましたし・・・。しかし結果的には、トヨタが意図的に発したものとはひと味違う「ストーリー」が多くのユーザーの心を見事に打ち抜いたわけです。さらに凄いなと思うのが、私自身もこのクルマが出て来て以降「ぷるぷる」が止まらないんですよ・・・。アテンザ、レクサスIS、アコード、アクセラ、レヴォーグ、インフィニティQ50・・・次々と登場する日本車に魂がゆさぶられ続けてないですか?

  いまでも街行く86のドライバーを見かけると「ぷるぷる」来ちゃったのかな?なんて微笑ましく見てしまいます(決してバカにしてないですよ!)。おそらくこのクルマのオーナーは10中8, 9良い人ですよね、たぶん・・・。


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