2014年9月26日金曜日

1.5L・NAになったロードスターでは・・・

  ケータハム・セブン160はスズキの660cc軽自動車規格のエンジンを採用して話題になりましたが、やはり400万円という価格に加えて屋根付き駐車場などの高いハードルがネックになって日本のカーライフに地殻変動を起こすようなことはありませんでした。しかし注目したい点としては、輸入車なので黄色ナンバーでも日本メーカーによる自主規制値64psを超える出力が認めらるという先例が出来ました。これを使えばダイハツや三菱が海外市場で660ccエンジンのスポーツカーを発売し、OEM可能な適当なブランドと契約してそのブランド名を使えば、80ps以上の出力が使える超ライトウエイトスポーツを出すことも可能です。もちろん自主規制値を撤廃したほうが話は早いわけですが・・・。

  しかしセブンのような幌もないフルオープンなクルマで、山岳路のワインディングを楽しもうと思っても、実際のところ山の天気はとても変わりやすく、突然に大粒の雨が降り出したらなかなか悲惨な状況になってしまいますね・・・。実際に最も高い頻度で利用する中央自動車道なども東京〜神奈川〜山梨と30分あまり駆け抜けるだけで、何度も雨が振ったり止んだりする日が結構あります。やはり山国の日本では当然に降水量が多いですから、幌無しという設計自体が相当に無茶なのかもしれません。できれば絶賛発売中のダイハツ・コペンのようなボディタイプのクルマに80psの軽エンジンを積んで、北米のサイオンブランドから発売したものをそのまま日本でも売ってみてはどうでしょうか。

  コペンのボディとなると車重も900kg前後に達するので、高速道路を走っても山道を登ってもエンジンが断末魔の叫びのように悲鳴を上げてしまうのは避けられないでしょう。そういう走りになってしまうスポーツカーが許せない人にとっての、次の候補になってくるのが新型も発表されたマツダ・ロードスターでしょうか。新型はマツダの技術を結集した軽量化策を採ったようで、コペンとあまり変わらない水準まで車重を落としてきたようです。公称値はコペン870kgでロードスター960kgとなっていますが、トレッドは段違いにロードスターが広く、踏ん張りの限界は相当に上回りますから、車重を一番感じるブレーキングとコーナーリングの局面では、ロードスターの方がむしろ軽く感じられるはずです。問題はNCにはどんな急斜面でも十分なトルクを発揮できた自然吸気の2Lエンジンが積まれていたのですが、新型ではアクセラのボディを引っ張るにはやや非力すぎるような1.5Lエンジンが搭載された点です。

  先日発売された「ドライバー」誌でもチクリと言われてましたが、某イベントでサプライズ走行したNDロードスターはどうも冴えない走行音で失笑を買っていたとか・・・。やはりシリンダーのドライブ感に乏しいエキゾーストが漏れたことで、ほぼ確実にロングストロークの1.5LスカイアクティブGが載っていると断定されていました。ロードスターを買って思う存分に箱根の「マツダ・ターンパイク」で走らせてみたいと思う人もいるかもしれませんが、さすがにこれではパワー不足で少々勝手が違うのではないかという気が・・・。箱根をスポーツカーらしく走りたいならNCを急いで買うか、RX7を待つかが妥当な選択かも知れません。デミオもそうですがディーラーで借りたら取り合えず、真っ直ぐに近くのベタ踏み坂に持っていって試したいところです。

  コペンとロードスターを同じ土俵で語るのは語弊があるかとおもいますが、ダイハツもマツダもそれぞれの開発事情の中でなんとかスポーツカーを捻り出していて同じような生みの苦しみを味わっているのは間違いないはずです。そしてその過程を日本人特有?の温かい視線で全面的に肯定していくことが当然!というカーメディアが掲げるクルマ文化にはやや違和感というか息苦しさを感じます。車重を落としてさらにパワーを落とすことで、メーカーの意図するコンセプトに近いクルマが、現実的な価格で販売できるようになるという「本音」を押し隠して、メーカーとメディアが出来レースのように「スポーツカーを突き詰めた最終型がコレです!」と必死で世論を誘導しようとする部分がとても鼻について仕方ないです。

  こんなことを言ったところで何もならないのは承知してますが、新型ロードスターに対しアメリカ市場が要求したといわれる"さらなるパワーアップ"を頭ごなしに否定し、マツダの経営に負担がかからないサイズへとコンセプトへと小さくまとめたことは、マツダのスポーツカー部門自体を次のステージへとつなげて行くとは思えないです。どうもオープンカーに盲目的に憧れる年配気味の女性向けの"お買い物カー"にそもそも最大の需要を見込んでいるのではないか?と勘ぐってしまいたくなります。「売上が見込める価格に落とし込む」「お手軽オープンカーとしての需要を確保」「エンジン生産に負担を掛けない」という優先事項がロードスターの企画の大前提だとしたらなば、果たしてこのクルマはポルシェ・ボクスターなどを凌いでナンバー1の評価を得る2シーター・オープンスポーツの傑作「ピュア・スポーツ」として賞賛されるべきなのでしょうか?

  このまま1.5Lのモノグレードで発売されて、単なるダイハツコペンの上空に漂う存在になってしまうのか? 設計のことはよくわかりませんが、2.5L直4スカイアクティブGをハイオクでブン回して250ps前後に専用チューンしたエンジンを搭載した「ロードスターS」を作って、2.7Lフラット6を搭載するボクスターに真っ向から喧嘩を売ってみてはどうでしょうか? アルファロメオの1.75Lショートストロークのターボエンジン(4Cで使っているもの)を拝借するのも非常に魅力的ですが、ポルシェを名指しするならばNAエンジンで立ち向かうのが礼儀ってもんですよね・・・。
  

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